気侭Audio

書斎でのオーディオの記録と記憶

Pink Triangle Turntable

手持ちのオーディオ機器に手を入れることが無くなると、何故かタイミングよく新しい機械が引き寄せられるように手元に来るように思います。

そんな縁なのかやってきたのがこんなターンテーブル

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Pink Triangle Turntableイギリス製の多分80年代半ばの頃のものです。何でこんな物を入手したかというと・・・

うちの2台のターンテーブルはどちらもメカニズムは個性的でデザインも好みでとても気に入っているのですが、どちらも少しだけ弱点があります。それは7inシングルレコードを掛ける時。

Well Tempered の方は33/45回転の変更がベルトの掛け替えで行うのがちょっと面倒でIMMEDIAの方はEminentのアームの問題で最後まで聴くことが難しくちょっと残念なところがありました。

以前からもう一台コンパクトで普通のアームのプレイヤーも一台使ってみたいと思ってLinnのLP12辺りを入手しようとか考えていたのですが、あまりにもメジャー過ぎて、そして最近のはちょっと最初のコンセプトから行き過ぎな感じがして、なんか同じ感じの良いのがないかなと思っていたところ、こちらをオークションで見つけなんかこれ良いかもと安値もあってつい入手してしまいました。

画像はオークション時のもので見た感じ凄く地味な野暮ったい感じです。他の写真もオークション時のものです。

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まあ、全くもって地味でチープな作り、でもプラッターはアクリルだし、ウッドキャビネットも面白そうだし、ダメ元と適当な価格で入札して放置してたら落札となっておりました。

早々に決済を済ませて到着したものを早速点検。

外観はウッドの部分はオイルなのかニスのようなものが塗られあまり綺麗ではなくかなりくたびれた感じ、ダストカバーはヒビが入り(使わないので気にしません)アームボードの穴もなんかいい加減な感じであまりよろしくありません。と言ってもそれは想定内なのでとりあえず電源を繋いでモーターが動くことだけ確認して点検を始めました。

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というか作りが本当にシンプルなのでバラバラにしてしまいました。感じ結構簡素なイギリスっぽいと思う作りの中、色々と凝ったデザインの部分もあり、素材としてちょっと期待が持てそうな感じです。

分解して分かったのは基本的にはLinnなどと同じ三点支持のフローティングタイプですが、スプリングが吊り下げ式でこちらは以前使ったこともあるSOTAと同じコンセプト。ただ、よく考えてあるのはその調整で、フローティングタイプのプレイヤーで面倒な水平バランスを取るのを普段置いてあるポジションで調整可能というのがちょっと考えられているところです。その辺りはまた後でご紹介するとして各パーツの状況。

まずはフローティングプレイヤーの要の部分サブフレーム。

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こちらはなんとアルミハニカムを使用。見た目はあんまり良くありませんが極めて軽量で高剛性、フローティングさせるフレームとしてはもってこいの素材です。外観はかなりくたびれていて塗り直しなどもされているようで要レストアです。分解するとあれやこれや部品を変えたいところもあってまずは部品の手配をしてターンテーブルでもっとも重要なプラッターとスピンドルの点検と整備を始めます。

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プラッターはサンドブラスト仕上げのクリアアクリルでとてもスッキリした清潔感あるデザイン。うっすら見えるグルーブは裏側にあるベルトを掛けるプーリーとモーター軸部分の逃げです。レコードのスピンドルは真鍮でプラッターとはアルミのハウジングを介して繋がっています。

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こちらは一般的なプラッターが軸で受けはフレーム側とは逆のインバーテットタイプになっているスピンドル。ちなみにIMMEDIAもこのタイプです。この構造の場合レコードのサーフェス付近に軸受の支点があるためブレが少ないという利点があります。スピンドルの先端は凄く小さなボールが嵌め込んでありプラッター側の軸受と接する構造。

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軸受はちょっと変わっていてアルミのハウジングは全くスピンドルと接しなく嵌め込んである樹脂の短い部分と先端に埋め込まれたレコード用のスピンドルに付いた多分宝石系(ルビーかサファイヤ)製の軸受と接するという接触面積がとても少ない構造です。

 

 

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ピンボケでうまく見えませんがいくつもの素材を何重に組み合わせた構造がわかります。なかなか凝ったつくりです。

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スピンドルと軸受のはめ合いの精度もかなり良くて、ごく少量のオイルを塗ってスピンドルを入れると押し返されてしまうぐらいの程よいクリアランスです。家にあったいろいろなオイルや量を試して、自分でしっくりいく感じの具合が見つかってとりあえずプラッター周りは完了です。
次は外観上一番気になるフレームと苦手な電気系のレストアです。