気侭Audio

書斎でのオーディオの記録と記憶

SOUTHER LINEAR ARM SLA-3

ひょんなことで譲って頂いたTechnics SL-110 / SOUTHR  ENGNEERING のプレイヤー ターンテーブルのSL-110の方は何度かメンテをされていたそうで動作に問題は無く、故障としてはSOUTHRのアームケーブルの断線のみということで早速検証してみると確かに出力ケーブルの一本が断線している模様。

断線したケーブルを取り外してみるとそれは本当に細くてしなやかなケーブルでどういう作りなのかカートリッジの針先を見る用の顕微鏡で見ても構造が分からないぐらい。

そこでまずは手持ちの線で最も細いであろう絹巻きリッツ線をバラしてその単線を使ってケーブルを作ってみました。因みに一本の線径は0.07mm 

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元になったオリジナルのケーブルとの比較。とりあえず同じような見た目で作りました。

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元の線の細さが解ると思います。結果を言うとこのケーブルはほぼ同じようにアームは動いてくれましたが最後のリードアウトの部分のみケーブルのテンションで上手く動いてくれませんでした。
その後もっと細い0.04mmのリッツ線を入手してケーブルを製作しようとしましたがこちらは細すぎて単線でのハンダ付が難しくこれは断念。

と、ここで一旦シンキングタイム。
このアーム、何故にこんなに細い配線を使っているかというとアームのハウジング内の狭いスペースで抵抗無くアームを動かすためにこのような細い線を使わざるをえなく、これがこのアームの特殊性を際立たせているように思います。同等の線材が見つからない限り同じように動いてくれるケーブルを作るのは今回難しいと判断して、少し目線を変え配線をカバーの外に出してしまえば配線に余裕を持ってストレスなく動くのではないかと思い、リッツ線以外の別の線ということで使ってみたのがモガミの2706というトーンアーム用配線。こちらはAWG36の極細の線材でオリジナルよりちょっと見た目が太くなりますがリッツ線単線より柔軟性があり配線の取り回しを変えれば何とか使えそうです。合わせててオリジナルとは長さを変えて余裕を持って取り回し出来るように作ってみました。それがこちら。

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オリジナルのデザインとは少し違いますが、これもケーブルのタイプが違う故のデザインです。

さて、ケーブルの方が出来上がりましたので次は本体の方を検分してみました。
実は今回トーンアームは本体についているのと別に予備としてもう一個トーンアームを頂いたのでそれも合わせてじっくりと検分すると意外に作りがかなり違います

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表側からだと違いが分かりにくいのであえて裏側からのショット。上が予備に頂いたものでシリアルからするとこちらの方が若い方になります。
まず、ボディの違い。上の方は何故か両方にアームベースを入れる穴が開いています。理由は不明です(笑)そしてトーンアームの形状と作りがかなり違います。あと大きな違いはセンタースピンドルに乗っかる部分のデザインがかなり異なります。

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こちらがシリアル番号の若い方

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こちらがその後の物でこちらの方がかなりガッチリかつ位置決めのロックもしっかりしています。そんなこと踏まえてこちらのボディの方を使うことにしました。
そして更に検分していくと気になったのがこちら。

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上の若い方のアームはレールの最後まで動いていますが、下の後のタイプは水準器の取り付け位置が何故か偏っていてアームが最後まで動きません、この位置まででもアームはリードアウトの位置まで動くので使用に関しては問題は無いのですが、せっかくなので若い方のリニアレールを使用することにしてアームは後のものを組み合わせるよう交換。

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リニアレールの交換に際して硬化していたレールと本体の間に入るスポンジを製作。

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その後レールとアームの微調整(これがなかなか微妙)や全体のクリーニング、白化した樹脂のコーティングなども行ってトーンアーム整備完了です。この後ケーブルを取り付けてターンテーブルに戻す準備完了。

ダストカバーはターンテーブルに載せてからレールの水平を出す為にまだ取り付けていません。

 

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ターンテーブルに取り付け、アーム本体の水平を出してからリニアレールの水平を出してアームのアジマス調整した後カバーを取り付け一応セッティング完了。

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今回アームケーブルを上から取り回すにあたってダストカバーの一部を切り取ってストレスない動きになるよう出来ました。

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個人的に機材を積み重ねるのは好きではないのですが、スペースが無いのでNagra DACの上にNAC 32-5をセッティング、とりあえず無事音が出てホッとしました。
これからレイアウト含めてまだまだ見直すところも多いですがぼちぼち楽しんでいきたいと思います。